日本語には「、(読点)」「。(句点)」という文章を区切るマークが存在します。これらをまとめて「句読点」と呼ぶことは小学生でも知っていることですね。では、適切な句読点の打ち方について明確に説明することができるでしょうか。
句読点に明確なルールは存在しないものの、「適切でない」句読点が打たれた文章は非常に読みにくいものになります。読みづらい文章は読者にストレスを与え、内容理解の妨げとなります。つまり、句読点次第で「伝わる」文章も「伝わらない」文章と化してしまう恐れがあるのです。
では、どんなときに句読点を使用すればよいのでしょうか。
「読点」の打ち方
「読点」とは文章の途中に打たれる「約物(句読点・括弧・疑問符など)」のことを指します。
漢字/ひらがなの区切りに
- この度毎日配達される新聞をとるのをやめました。
- この度、毎日配達される新聞をとるのをやめました。
- そのためにはふたたび金を払わなくてはならなかった。
- そのためには、ふたたび金を払わなくてはならなかった。
上記例では、漢字もしくはひらがなの区切りに読点を用いています。それぞれ上下を見比べてみてください。読点があることで区切りが明確になり、誤読を防ぐ効果があります。
重文/複文の区切りに
重文とは、主語と述語をそなえた文章が二つ以上含まれているものを指します。複文とは、述語が2つ以上存在する文のことですね。
- 私は床に落ちているゴミを拾い上げ、彼女は本棚を整理した。
- 私は床に落ちているゴミを拾い上げ、ごみ箱に向かってほうりなげた。
二つ以上の区切りを示すために、読点を用います。
長い主語の後に
- 昨年の夏に結婚式を挙げたわたしたちの担任は、今年の春に産休をとった。
- 三階にある総務部の奥に座っている部長は、私の叔父だ。
長い主語のあとに読点をうつと、主語が明確になります。
接続詞の後に
- それにもかかわらず、彼は排水溝をのぞきこんだ。
- しかしながら、あなたのおっしゃることは矛盾している。
つながっている二つの語句や文章を示すために用いられる接続詞。読点で区切ることによって、意味が強調され文章のつながりがはっきりとします。
形容詞/副詞の修飾を区別する
- 彼女はパソコンを触りながら食事中の彼を見つめた。
- 彼女は、パソコンを触りながら食事中の彼を見つめた。
- 彼女はパソコンを触りながら、食事中の彼を見つめた。
上記のA~Cをご覧ください。読点の打ち方ひとつで、文意がまったく変わってしまいます。Aの文章ではBとCどちらにでもとらえられてしまいます。このような誤読の危険性を排除するために、読点を打って意味を明確化しましょう。
「句点」の打ち方
「句点」とは文章の最後に打たれる「約物」のことを指します。文章の最後に打つだけなのに、ルールめいたものが存在するのでしょうか?
「!」「?」のあとに句点はつけない
- いつまでも泣いてるんじゃないよ! そんなことじゃ、あいつも浮かばれない。
- この財布はあなたのものですか? 僕のカバンのなかに入っていたのですが。
感嘆符「!」や疑問符「?」のあとに句点をつけることはありません。約物が連続してしまうため、読みづらくなるためです。また、「!」「?」のあとに文章が続く場合、全角スペースを後に続く文章の前に挿入します。
「」でくくられている文章の末尾
- 「そんなこといったって、あいつの行動は理不尽だよ」
- 「そんなこといったって、あいつの行動は理不尽だよ。」
- 「そんなこといったって、あいつの行動は理不尽だよ」。
Aにあるように、「」の文末には句点をつけないのが出版業界では主流となっています。国語の教科書ではBの使い方となっているのではないでしょうか。Cの書き方はどちらにも当てはまりません。
()は句点の前? 後?
- 彼女は毎日、犬の散歩をしている(その犬は僕から譲り受けたものだが)。
- 砂のがわに立てば、形あるものは、すべて虚しい。(安部公房『砂の女』、P.42)
上記A・Bはどちらが正しいのでしょうか。実は「どちらも正しい」が正解です。()の前にくる文章を修飾する文言の場合、句点は()の後につけます。書籍などからの出展を明記する場合の()は句点の後にくるのです。
文章を読むリズム
いかがでしたでしょうか。句読点にまつわる慣例は、文章を読むリズムにも関係してきます。読みやすい文章・明晰な文章を書くことを念頭に置いて、句読点の用法について気をつけてみましょう。文章を書く行為に、新たな発見が生まれることでしょう。